早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

講演者/Speakers

Nick Whiting

Technical Director at Epic Games

汗と涙から生まれる楽しさ----より感動的なVRアプリを生み出すための試行錯誤のプロセス

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といったXRテクノロジーをゲーム用アプリケーションとスポーツ、トレーニング、デザインのような業務用アプリケーションの両方で利用する際、技術的要素と芸術的要素を両立させることが大きな課題となる。効果的にXRアプリケーションを開発するには、設計と反復検証によって人間とハードウェアの両方の制約を克服する必要がある。今回の発表では、観察、反復検証、経験的証拠によって得られた一連の気づきを紹介するとともに、ゲーム用でも業務用でも非常にインタラクティブなアプリケーションを開発するための体系的なルールを提示する。
多くの開発中の文法のコンポーネントは、ゲームや映画など過去のメディアからの借用であるが、XR独自の強みを利用して進化してきている。また、『Robo Recall』や『Bullet Train Showdown』などの一般向け商品のケーススタディや他のメディアの例に触れながら、プレイしやすくユーザーが楽しめる作品を生み出すため、インタラクティブな要素についてアイデアを膨らませ、観察と反復検証を織り交ぜながらアイデアをブラッシュアップする過程を紹介したい。
ゲームは、プレイヤーの経験値に合わせることで、プレイヤーのタスクパフォーマンスを向上させることもできる。これは、スポーツや技能を要する活動のトレーニングで同様の手法が応用できることを示唆する。最後に、こうした反復検証の手法が、テクノロジーを活用したツールによって誰にでも利用できるようになり、学際的な研究メンバーが迅速かつ効率的に協力して質の高い成果を生み出していることについても注目したい。

Biography

Nick Whiting氏
Epic Games社テクニカルディレクター。Unreal Engine 4のVR/AR技術開発、音響工学、スクリプト研究を監督。大ヒットとなった『Gears of War』シリーズのほか、『Robo Recall』『Bullet Train Showdown』など、エンジニアリング技術の集大成として高く評価されているVRエクスペリエンスも手掛ける。最近は、クロノスグループ(Khronos Group)のOpenXRイニシアチブの議長も務め、VR/ARプラットフォームとアプリケーションのオープン・スタンダードの作成に取り組んでいる。

VR/ARテクノロジーの分野に携わる前は、Unreal Engine 4のブループリント ビジュアル スクリプティング システムのリードエンジニアを担当。同システムは、非常にパワフルでありながらも、操作性に優れ、あらゆる分野でディベロッパーのアイデア実現をサポートするツールとして知られている。

Epic Games入社前は、アメリカ陸軍向けのゲームシリーズ『America’s Army』の制作に携わる。このゲームは、一般向けの一人称視点シューティングゲーム(FPS)であるだけでなく、軍隊における数多くの訓練計画の技術的基盤にもなっている。

最終学歴は、コロラド大学ボルダー校電気・コンピューター工学および日本言語学の学位取得。また、同校のバイオメディカル工学のコースを履修しており、現在は筑波大学で同種の課程を履修中。