派遣プログラムの内容について
スーパーグローバル大学創成支援(SGU)のプログラムにより、アメリカ・カルフォルニア州のUniversity of California Davisへ95日間の研究留学をさせていただきました。Department of PharmachologyのProf. Satoの研究室に受け入れていただき、3ヶ月間で論文一本分の成果を出すことを目標に研究を行いました。
学習成果について
本派遣では、不整脈の開始と発達の動力学的なメカニズムを理解することを目的とした、2次元心筋組織のモデリングを行いました。私は普段再生医療に関する研究を行っておりますが、本研究テーマは普段全く扱ったことのない心筋細胞組織に関して、同じく初めてであるプログラミングを用いてシミュレーションを行うというものでした。新しい2つの分野を同時に学ぶ必要があり苦労しましたが、Prof. Satoや研究室のメンバーのご協力のもと研究に取り組みました。その結果、現在まで計測されたことがなかったスパイラルウェーブとオルタナンスを同時発生させる、新規なコンピューターモデルの開発に成功しました。また、日本での研究テーマに関して英語でプレゼンテーションを行ったり、2週間ほど国際学会に参加させていただいたりしたことも、とても良い経験になりました。それと同時に、英語で専門外のテーマに関してコミュニケーションを取ることの難しさを感じました。
海外での経験について
私は今回が初めての欧米への渡航となりました。はじめは信号の渡り方やスーパーでの値札の見方もわからず苦労しましたが、最終的には列車や飛行機で都市や州をまたいで一人で旅行できるようにまでなりました。見知らぬ土地で自分の思うように行動できるようになったことは、自分にとって大きな自信となりました。また文化に関して、我々日本人はアメリカについてよく知っている方だと思いますが、海外の方の日本に関する認知度の低さに驚きました。そして、日本の文化や技術をもっと世界に発信していきたいという思いが強くなりました。そのため、自分が海外の文化を学ぶと同時に、アメリカに住む様々な出身・年齢の友人と接していく中で日本をより好きになってもらえたことがとても嬉しかったです。また、アメリカでは2ヶ国語以上話せる方が珍しくなく、リーディングやライティングだけでなく英語での会話能力を上げる必要性を強く感じました。
今後の進路への影響について
Microsoft社、MIT、カーネギーメロン大学などで研究や仕事をされていたり、長期で留学されている日本人の方に何名かお会いしお話をうかがう機会がありましたが、皆情熱をもって主体的に取り組まれており、大変刺激を受けました。アメリカの研究や仕事における姿勢や文化は日本とは異なる点も多く、日本からほとんど出たことがなかった自分にとって新たな視点を得ることができました。一方で、日本の良さに改めて気付く機会も数多くありました。そのため、将来は海外の方々と働き、かつ世界における日本の地位向上・発展に貢献できる仕事に就きたいという思いが強くなりました。今回は研究を目的とした留学のため大学の授業は履修しておりませんでしたが、大学院卒業の前にもう一度、今度は語学力向上を目的とした留学をしたいと考えております。
その他
SGU関係者の皆様、本制度に推薦していただいた先生にこの場をお借りし、改めて感謝申し上げます。理工学部に所属し留年せずに留学することは難しいと思っておりましたが、今回このような機会をいただくことができ、かつ目標を達成できたことは非常に成長につながったと感じております。自分の将来について改めて考える、とても良い機会になりました。