早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

中島 佳昭 Yoshiaki NAKAJIMA

派遣期間
平成30年10月~平成31年1月
派遣先大学
University of Birmingham
派遣先国・地域名
イギリス・バーミンガム

派遣プログラムの内容について

双腕ロボット”Baxter”のシミュレータを用いて、ドラムを叩くタスクを深層学習で学習・実行させる研究を行いました。シミュレータ自体は現地の研究室の同僚が開発したものを利用し、ドラムをうまく叩けるように改良しました。このシミュレータによって獲得した学習用の教師データを学習しやすいように加工(正規化やノイズを加えるなど)した上で深層学習の一つであるMTRNN(Multi Time-scale Recurrent Neural Network)を独自に双腕協調学習用に改変したモデルで学習を行いました。音声を聞いてどれほどうまく同じ音を叩いて出せるかという実験にて従来の学習モデルと性能を比較しました。

学習成果について

公の成果と個人の成果があります。まず公の成果では、バーミンガムと早稲田のパートナーシップでロボット分野での実際の交流は今回が初めてになるため、二校の関係をより拡張するという意味で大きな役割を果たせました。また、留学先で行われていた私のプロジェクトは帰国した今でも継共同研究が続しており、IROSなどのトップカンファレンスにペーパーを出す予定です。 個人の成果としては、海外で研究できるという自信や英語での対人コミュニケーションスキルです。特に日本に帰ってきた後に研究室に訪問する海外の方の対応などを積極的に行える様になるなど、副次的な成果も多数あると実感しています。

海外での経験について

Wesley International Student Homesという海外からの学生しかいない寮で滞在していたため、かなり多様なバックグラウンドを持った人に囲まれたことで異文化交流をして過ごすことができました。イギリスは外食が高いために平日は基本的に自炊してタッパーで次の日の昼食もまとめて作って食べていました。週末の旅行はロンドン、エディンバラ、オクスフォードなどイギリス国内の都市を旅行しました。イギリスの長距離電車は価格が大きく変動するため、計画的に旅行のプランを立てる必要があったのが少し大変でした。基本的に寮と研究室の往復だったので退屈に感じ週末にJapanese Culture Societyというコミュニティのイベントに参加して学生以外の現地の人とも交流することができました。イギリスのクリスマスは10月から装飾が始まり1月をすぎてもなかなか取り外さないのがクリスマス好き感を出していて非常に面白かったです。

今後の進路への影響について

今回の経験が海外で働きたいという思いを強くさせてくれたので、将来的に海外で働くことを視野に入れた就職活動を行っています。特に、現地のイギリス人に「私の英語力でイギリスの会社に就職できると思うか正直に答えてくれ」と質問して問題ないとはっきり言われたことがかなり自信につながっています。また、私の専門の特性から海外で働くことのハードルがもともと低かったので、さらに海外での就職を強く意識させてくれました。今後の進路への影響は、もちろんポジティブな方面で非常に大きいです。

その他

私はSGUという制度がなければ留学をしていなかったと思います。資金的援助はもちろんのこと、池田さんの事務的な仕事やVISAや現地生活に対する不安を取り除いてくれることも含め、SGUによる多面的支援の恩恵によってこのような貴重な経験を得られました。自分に置かれた環境を国レベルで客観視できる機会というのは滅多に得られるものではありません。今後もより多くの学生が海外での留学を経験することを望み、またその願いを叶える母体としてSGUが機能していただけたらと思います。