早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

樋口 陽祐 Yosuke HIGUCHI

派遣期間
令和元年12月~令和2年3月
派遣先大学
ジョンホプキンズ大学
派遣先国・地域名
アメリカ・メリーランド

派遣プログラムの内容について

米国メリーランド州にある Johns Hopkins University (JHU) の Center for Language and Speech Processing (CLSP) にて、渡部晋治先生の下、End-to-End 音声認識の研究に従事した。End-to-End 音声認識とは、音声から文字への変換を、単一の深層ニューラルネットワーク (DNN) によるモデルで実現することである。近年の研究により、End-to-End 音声認識モデルの認識精度は飛躍的に向上したが、ネットワークの特性上、推論速度が非常に遅くなってしまう課題がある。そこで本プラグラムでは、認識精度を保ちつつ、推論速度の速い End-to-End 音声認識モデルを構築することを目指した。

学習成果について

推論速度の速い End-to-End 音声認識に関する研究を行った。この研究過程において、音声分野以外の関連論文も多く読み、様々なアイデアを先生や先輩との議論を通して考えた。アイデアの殆どは思い通りの結果が出ず、限られた時間に焦りを感じたが、最終的には研究の方向性を確立することができた。いくつもの失敗から得られた知見を元に、次の一手を諦めずに考え続けることの重要性を学んだ。また、End-to-End 音声認識の研究の他に、自分の過去の研究とのコラボレーションも体験した。似た研究テーマの経験がある学生が集まり、互いの持つ知見やツールを共有し合うことで、新たな研究につながることを身を持って感じることができた。自分のみの研究だけで閉じず、その経験を道具として活用することで、研究の楽しさが何倍にも膨むことを知った。

海外での経験について

滞在していたメリーランド州ボルチモアは、アメリカの中でも治安が悪いことで有名な都市で、渡航前は不安な気持ちでいっぱいだった。しかし、大学周辺は比較的に安全で特にトラブルに巻き込まれることはなく、教授宅でのクリスマスパーティやアメリカンフットボールの試合観戦など、アメリカらしいイベントを十分に体験することができた。大学では、論文輪読や進捗ミーティングに参加し、英語でのプレゼンテーションやディスカッションを行った。英語を仕事 (?) として扱うのは初めてで、英語で研究内容を説明したり、考えの受け答えを行う良い練習となった。また、早稲田大学では受けられない音声認識に特化した授業や、外部研究者を招聘したセミナーにも参加することで、基礎的な専門知識だけでなく、最先端の研究内容に対する理解を深めることができた。

今後の進路への影響について

研究室配属時になんとなく研究を始め、無難に修士課程を修了できれば良いと思っていたが、今回の留学を通して博士課程への進学を深く考えるようになった。留学先で関わった学生の多くは、自分と同年代にも関わらず、研究に対する志が非常に高く、彼らとのミーティングやディスカッションは、自分の研究に対する姿勢を見直す良い機会となった。今後も研究を続けることで、彼らと同じ土俵に立ち、自身を高めていきたいと感じている。また、早稲田の研究室に限らない学生や研究者と積極的に交流することで、自分の視野を広め、将来の選択肢を広げていこうと思っている。

その他

スーパーグローバル大学創成支援には、今回のような貴重な機会を与えてくださり、深く感謝いたします。金銭的な側面だけでなく、安全面にもしっかりとサポートいただいたおかげで、何一つ不安を抱くことなく現地での研究生活を送ることができました。また、今回の留学を勧めていただいた小林先生・小川先生、急な申請にも関わらず迅速かつ丁寧なご対応をしていただいた池田さんに、心から感謝いたします。最後に、渡部先生には、留学を受け入れていただいただけでなく、研究内容に限らない様々なことを教えていただき、今後の進路の選択肢を広げていただきました。本当にありがとうございました。