早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

佐藤 峻 Takashi SATO

派遣期間
令和元年8月~令和元年10月
派遣先大学
Singapore University of Technology and Design
派遣先国・地域名
シンガポール

派遣プログラムの内容について

Singapore University of Technology and Designにおいて、Micro fludicsおよびDigital fabricationの研究を行っているProf. Hashimotoの元で、液体金属を用いた電子部品の実装のために、液体金属と個体金属間の電気的接続を精査する研究を行った。従来、回路基板へ電子部品を実装する際にははんだが主に用いられているが、フレキシブルデバイスで多く使用される耐熱性の低い基板に対しては使用することができない。また、室温で硬化する導電性ペーストもあるが、接触抵抗が高い問題がある。これに対し、我々は液体金属に着目した。液体金属は高いポテンシャルを有するが、個体金属と接触させたときの電気的性質が不明である。そこで本研究では、液体金属と個体金属間の電気的接続を精査するために、異なる手法で液体金属と個体金属を接続し、接触抵抗を計測および評価した。

学習成果について

研究室では毎週1度先生とのIndividual meeting(20分)と、各週で異なる人が進捗を発表する研究室全体でのGroup meeting(2時間程度)がある。研究室内の会話はすべて英語であり、初めて海外に長期間滞在した私にとっては非常に刺激的な体験であった。最初はほかの人が何を話しているのか聞き取ることが難しく、自分の意見を英語で述べるのはさらに難しく感じた。今回の学習により、先生とのIndividual meetingでは先週の進捗や実験の内容、自分の意見などを徐々に英語で述べることができるようになった。またGroup meetingでは話をある程度理解して、質問を述べることができるようになった。しかし、さまざまな研究を行っている人が集まっているため、広い分野における専門的な議論を英語で行うのはまだ難しく、英語力の向上の必要性を強く感じた。
研究では、異なる3つの手法で液体金属と個体金属を接触させて接触抵抗を計測し、接触抵抗を低下させることを可能にした。今回の派遣期間中の研究内容を、帰国後に英語の論文誌に投稿する予定である。

海外での経験について

シンガポールには様々な国の人が滞在しており、異なる文化に同時に触れることができて、よい経験ができた。英語が母国語ではない人も多いため、英語は間違えてもいいから積極的に使っていくことで、英語でのコミュニケーションをスムーズに行えるようになった。またシェアハウスをしていたため、ルームメイトと日常的な会話をしたり、宿泊先の管理人と仲良くなったりと、さまざまな人とコミュニケーションをとることができた。また、趣味のテニスを通じて大学のテニスチームのメンバーや現地の人と仲良くなり、彼らと一緒にローカルの人が使う食事処のホーカーに行ったり地元のテニスショップを教えてもらったりと現地の人ならではの体験をすることができた。一方で、現地の食事は脂っこいものが多く、白米や野菜を使った日本食のありがたさを痛感するなど、海外で生活したことで日本の良さを改めて学ぶことができたのもよい経験であった。

今後の進路への影響について

日本では修士課程を卒業後に博士課程に進む人はそこまで多くないため、海外派遣の前は漠然と修士課程を卒業したらどこか日本の大手企業で働くのだろうと考えていた。しかし、今回の派遣で全員博士課程以上である橋本研究室の研究者たちが楽しそうに研究をしているのを見て、博士課程に進学してより多くのことを学ぶのも面白そうだと思うようになった。また、現地で駐在として働いている日本の企業の社会人とテニスを通じて仲良くなる機会がたくさんあり、話を聞くうちに、社会人になるのであれば、海外での実力主義で自由に働く方が日本の大企業で働くよりもより挑戦的な人生になるのではないかと感じた。いずれにせよ、今回の派遣を経て海外での働き方を知ったことで、自分もこれからの人生で世界に出て活躍してきたいと考えるようになった。

その他

海外派遣制度及び受け入れ先のProf. Hashimotoにまことに感謝いたします。皆さんのご支援のおかげで金銭面や生活面で一切の不自由なく海外での研究に励むことができました。またProf. Hashimotoのご指導のおかげで、さまざまなことを学び充実した研究生活を送ることができました。ほかにも、研究派遣において関わった多くの方々の支えのおかげで、このような貴重な体験をすることができました。サポートしていただいた皆様に、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。