早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

實川 智裕 Tomohiro JITSUKAWA

派遣期間
平成28年7月~平成28年9月
派遣先大学
Nanyang Technological University(南洋理工大学)
派遣先国・地域名
シンガポール

派遣プログラムの内容について

南洋理工大学の佐藤裕崇准教授の研究室で甲虫に搭載する人工翅に関する研究を行った。飛行の開始、終了、左右旋回 などの電子制御が発達しつつある甲虫の翅を人工翅に置き換えることで、飛行性能を向上させたり、飛行の特性に変化を与えることが本研究の目的である。甲虫の翅の部位は形状を保持するための脈と、空気をとらえるための膜に大別できる。研究の第一段階として、人工化が比較的容易と考えられる膜のみに処置を施す。処置後は3Dモーションキャプチャシステムのある部屋で自由飛行させ、その時の飛行速度、加速度を計測し、処置前のデータと比較することで飛行性能がどう変化したかを評価する。以上のようなプロセスでよりよい人工翅の開発を行う。

学習成果について

膜の70%をパリレンという人工翅に置き換え甲虫を飛行させることに成功した。虫の自然膜をカットしパリレン膜をはらない状態で虫を飛ばそうとすると墜落するので、パリレン膜がプラスに働いているということがわかる。パリレン膜で置き換え飛行させる実験を9サンプル行ったが、自然翅の飛行速度に対する補修翅の飛行速度の増減率はいずれも±15%内に収まった。また9サンプルすべての増減率の平均を取ると0%に近くなった事から、パリレン膜に置き換えることによって自然翅の飛行性能にまで回復させることが可能ということがわかった。また、主として研究を進めるために留学の機会を与えていただいたが、研究を進める中で現地の研究者とコミュニケーションをとるため英語力も自然と向上した。渡星してから数週間で、簡単な会話だけでなく研究に関する高度な知識を要する会話も完璧とまではいかないができるようになった。

海外での経験について

旅行するだけではわからないシンガポールの方の人柄や文化に触れることができた。南洋理工大学の人々は皆親切で大学内で道に迷って途方に暮れていると向こうから道を教えてくれたりした。研究室では多くの友人ができ、一緒に研究を行ったり食事を共にすることで親睦を深めることができた。またホームステイでホストの方と生活していたので現地の風習や美味しい食べ物などたくさん教えてくれた。研究とは別に英語を使って書類を作成し手続きを進め、大学の事務の方とメールしたりすることで、海外の方を相手とする事務処理の練習にもなったと思う。

今後の進路への影響について

留学を経験したことによって進みたい進路に変化があったということはありませんが、その進路に進み仕事をしていく上で役に立つような経験ができたと思っております。研究は研究室で行っている活動ですので、自分ひとりでに進めるものではなく指導教員と話し合いながら進めていく必要があります。しかし、留学に来ており指導教員が実験の様子を直に見ることができなくなり顔をあわせて話し合うこともできなくなります。そういった中で必要とされるのが、現場の状況を正確に伝えることやその状況を考慮し解決策を指導教員に提案することだと思います。現場の状況は末端にいる自分しか知りえないので、このような能力が必要だと感じました。これは会社に入って仕事をする上でも大事なことだと思います。今回の留学ではそのような能力も鍛えられました。

その他

人材育成のため留学の支援をしていただけることはとても有難いことですし、このようなシステムがあるのは素晴らしいことだと思いました。このような機会を与えていただき、支援をしていただけるからには留学中だけでなく、帰国後も研究を頑張ろうと思いました。