早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

松本 昇 Noboru MATSUMOTO

派遣期間
令和元年10月~令和2年1月
派遣先大学
ミュンヘン工科大学
派遣先国・地域名
ドイツ・ミュンヘン

派遣プログラムの内容について

ロボットがカメラから得る情報を使い、目標の物体に対してアームでアプローチをする際に、物体の様々な姿勢に対して適切なアプローチを生成するネットワークを作成することを目指しました。また、目標の物体に対する適切なアプローチが複数ある中では、それまでのアームの動き等のコンテキストをカメラの画像から取得し、適切なアプローチ動作を生成してくことを目標としました。今回の派遣プログラムではその前実験としてロボットではなく、人の腕から得られる筋電位や、眼球の情報から視点情報を取得できるアイトラッカーを用いてサンプルデータを取り、ニューラルネットワークの作成、学習を行いました。

学習成果について

筋電位センサーやアイトラッカーを使うのは初めてで、環境の構築に思いの外時間がかかってしまいましたが、学習に十分なデータを取得することができました。まだニューラルネットワークの学習は不十分なのでこれからも研究を続け、より大きな成果につなげていく所存です。その次のステージでは大学のロボットの環境でデータを取得し、さらに研究を発展させていくことを予定しています。今回の派遣プログラムにおいてミュンヘン工科大学に所属する多くの学生や先生との接点を持つことができたことも大きな成果であり、ミーティングやプレゼンを通して語学力の向上も実現することができたと思います。「CYBATHLON」という義手や車椅子を使った、障害者と最新の技術による国際的な競技大会が2020年に予定されていて、ミュンヘン工科大学のチーム (CyberTUM) もその中の二つの競技に出場することになっています。私は研究と並行してそのメンバーとしてチームに参加させてもらい、競技に使う技術を一緒に開発する手伝いも行いました。何度かミーティングなどにも参加して、他の方が取り組んでいる競技の技術を聞いたり議論するのはとても有意義で楽しかったです。

海外での経験について

初めてのヨーロッパに一人で滞在するのは不安でしたが、たくさんの人の力を借りながら積極的に現地の人たちとコミュニケーションする中で3ヶ月の留学を無事に乗り切ったことは自分への大きな自信になりました。ミュンヘン工科大学では様々な国籍の人が英語を介して会話をし、協力しながら研究を進めていました。その環境の中で、「英語が話せれば世界中の多くの人と意思疎通できる」ことの素晴らしさを直に感じ、英語に対する学習意欲がさらに湧きました。さらに、日本とは大きく違う歴史や生活に触れる中で多種多様な文化への理解が深まると同時に、今までは日常として気付くことのなかった日本や私自身の長短を再発見することができました。このように海外での経験は新しい知識などの広い視野を与えてくれるだけでなく、自分の中に新しい視点を与えてくれる貴重なものでした。研究の面倒を見てくれた博士課程の学生とクリスマスマーケットに行ったり、普段の生活の世話をしてくれたAirbnbのホストが一緒にクリスマスをお祝いしてくれたことはとても素敵な思い出です。

今後の進路への影響について

今回三ヶ月間の滞在の中で、多様性にあふれた仲間と話したり作業することは刺激的であり、私の視野を広げてくれるものでした。そして英語を使って海外で仕事をすることが魅力的であり、可能であることを実感する一方で、まだ今の実力では責任を持って仕事をするのには不十分だと感じる機会も多くありました。そこで、今後も英語の学習を継続していくことにより、直近で海外に就業することは難しくても、後に海外で活躍する機会があれば積極的に挑戦していこうという考えに変わってきました。私自身はもともと日本で就業するつもりで、英語を日常的に使った業務や会社は考えていませんでした。SGUの留学はこのように英語スキルの向上とともにグローバルな活躍を考えるきっかけを与えてくれました。

その他

SGUが資金面や手続きといったサポートによって留学のハードルを下げてくれたからこそ、私は研究や外国での生活に力を注ぐことができました。また、今回留学するにあたり、事務手続きから宿探しまで多くの手伝いを行ってくださった池田さんの協力があってこそ無事に充実した留学を送ることができたと思います。ありがとうございました。