早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

スーパーグローバル大学創成支援(SGU) Waseda Ocean構想
Waseda Goes Global:A Plan to Build a Worldwide Academic Network
that is Open, Dynamic and Diverse

早稲田大学

海外派遣学生/Student

金田 綾乃 Ayano KANEDA

派遣期間
令和元年12月~令和2年3月
派遣先大学
カリフォルニア大学ロサンゼルス校
派遣先国・地域名
アメリカ・ロサンゼルス

派遣プログラムの内容について

近年、科学技術やデバイスの発展によって、さまざまな物理現象がコンピュータ上で視覚化されるようになってきている。
これらの技術は映画やゲーム等の娯楽に限らず、教育現場や医療現場といったへの活用法も検討されている。しかし、物理現象を数値計算を用いて再現する物理シミュレーション技術も未だ不十分であり、特に「複数の物質及び、複数の異分における相互作用」が課題となっている(例:衣服と人間の肌)。相互作用問題を扱う有効な手段として、流体力学の原理を個体物質に適用するMaterial Point Method(MPM)が注目されている。この手法は複数の個体及び異なる材質を統一的に扱うことができる一方で、物体の初期形状や条件(例:体積の保存)を扱うことが難しい。そこで申請者は、MPMにおける体積損失問題を改善することで、より汎用手な技術の確立を目指す。この問題は計算過程で、全体のエネルギーが保存されたとしても、局所的な運動量などが十分に保存されないことが原因としてあげられる。そこで申請者は局所領域での変形度合いを司る変形勾配テンソルに体積保存を満たす条件を付与することを提案する。本研究を進めるにあたり、CG映像制作におけるMPM法を研究するJoseph Teran教授とともに耐えうる手法を目指す。

学習成果について

博士課程の主たる研究テーマである「MPM法を用いた弾性シミュレーションの安定化」の研究を推進した。毎週のミーティングに加え、口頭やメールで海外の共同研究者と議論し研究を進めました。
MPM法は近年C G業界において注目されている、様々な構成式で記される弾性体や弾塑性体を取り扱うことができる手法です。本滞在では主に、本来は不安定になりがちなquasi-static な弾性状態におけるシミュレーションを安定化させるために、MPM法が格子と粒子、両方に物理量を託すことができる特徴を生かして、格子に託された物理量を効果的に使うことによって大域解を求める手法で研究を進めた。さらに、研究室での開発のベースとなるコードベースへの貢献も行いました。具体的にはMPM法での弾性シミュレーション、エネルギーの評価やコードチェックのためのテストコードなどを担当しました。
現在は自身の研究結果を適宜まとめながら、上記のテーマにて論文執筆を共同で行っています。

海外での経験について

今回、SGUの池田さんに大変お世話になった留学でした。私の渡航中にコロナウイルスの拡大が起きてしまいました。
頼れる人もなかなかいない中、事務局の方が特に積極的に相談に乗ってくださいました。感謝しています。
状況が大きく変わる中で、予定していた家にステイを拒否されるなど、いろんなハプニングがコロナによって起きてしまったのですが、なんとか乗り越えることができました。特に後半は生活面での心配事が多くて、無事に終わって帰ってこれたことでとてもメンタル的に強くなれたのかなと思っています。
他にもラボのメンバーには非常に親切にしていただいて、全体的に人に助けられた留学でした。食事から住むところまでお世話してくださったことを本当に感謝しています。
コロナでのレイオフやBLMなどの活動を間近で見て、色々と価値観の変わる留学だったように思います。

今後の進路への影響について

今後のことはまだわかりませんが、アメリカで企業の方ともお話しする機会をいただいて、国関係なく、スキルアップできるような道に進めたらいいなと思いました。良い意味で、企業の国籍にとらわれずに大きい視野で将来を考えていきたいと思いました。
総じてSGUのこの制度のおかげでとても良い経験をさせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。